容積率は前面道路の幅で変わる:計算のしかたと例
公開 2026年10月27日 / 法令の確認 2026年10月27日
都市計画で決まっている容積率(指定容積率)だけを見て延床を見積もると、前面道路が狭い敷地では大きく出すぎることがあります。前面道路の幅が12m未満のときは、道路の幅から出す上限も同時にかかり、小さいほうが使える容積率になるためです。
- 前面道路の幅が12m未満なら、「幅員(m)× 4/10 または 6/10」も容積率の上限になる(建築基準法52条2項)。
- 使えるのは、指定容積率と道路の幅から出した値の小さいほう。
- 係数は用途地域で決まり、特定行政庁が指定する区域では違う値になる。2項道路・特定道路・用途地域のまたがりにも決まりがある。
1. 法令で決まっていること
建築物の容積率は、用途地域などの区分ごとに都市計画で定められた数値以下でなければなりません(建築基準法52条1項)。
これに加えて、前面道路の幅員が12m未満の建築物の容積率は、前面道路の幅員のメートルの数値に、次の数値を掛けたもの以下でなければなりません(同条2項)。前面道路が2本以上あるときは、そのうち最も広いものの幅員を使います。
| 建築物がある地域 | 掛ける数値 |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 4/10 |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 4/10 (特定行政庁が指定する区域は 6/10) |
| その他(近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域、用途地域の指定のない区域など) | 6/10 (特定行政庁が指定する区域は 4/10 または 8/10) |
根拠:建築基準法 第52条第1項・第2項(2026年5月27日施行の版を e-Gov 法令検索で確認)。表は条文の区分をまとめたもので、高層住居誘導地区などの例外は省いています。
2. 計算のしかた
使える容積率は、次の2つのうち小さいほうです。
延床の上限 = 敷地面積 × 使える容積率
| 例 | 条件 | 道路の幅から | 使える容積率 | 延床の上限 |
|---|---|---|---|---|
| A | 第一種住居地域・指定 200%・前面道路 4m・敷地 150m² | 4 × 4/10 = 160% | 160% | 240m² |
| B | Aと同じ敷地で、前面道路が 4m と 6m の2本 | 6 × 4/10 = 240% | 200%(指定) | 300m² |
| C | 商業地域・指定 500%・前面道路 8m・敷地 200m² | 8 × 6/10 = 480% | 480% | 960m² |
例A は、指定容積率の 200% で見積もると延床 300m² ですが、使えるのは 240m² です。例B のように道路が2本あれば、広いほうの 6m で計算します。どの例も、特定行政庁が別の数値を指定していない区域として計算しています。
ここで出るのは容積率から見た延床の上限です。実際に建てられる大きさは、建蔽率・斜線制限・日影規制・高さの制限などで、これより小さくなることがあります。
この計算を、住所からまとめて出すトチシルベは、住所や物件概要書から用途地域・指定容積率・前面道路の幅の目安を拾い、前面道路による上限や斜線・日影も入れた延床の目安を出します。結果は概算で、確認の窓口も一緒に示します。
14日間 無料で試す3. 見落としやすい点
2項道路(幅が4m未満の道)に面しているとき
幅員4m未満の道で特定行政庁が指定したもの(いわゆる2項道路)は、道路とみなされ、原則としてその中心線から水平距離2mの線が道路の境界線とみなされます(建築基準法42条2項)。
根拠:建築基準法 第42条第2項。区域によっては3m、崖地・川などに沿う場合は別の定めがあります。
容積率の計算で前面道路の幅をいくつとするか、敷地のどこまでが道路とみなされるか(セットバック)は、所管の建築指導課などで確かめてください。現況の幅と、みなされる幅が違うことがよくあります。
幅員15m以上の道路(特定道路)の近く
敷地が、幅員15m以上の道路(特定道路)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路に接し、その部分が特定道路から70m以内にあるときは、前面道路の幅員に次の数値を加えて計算します(建築基準法52条9項、施行令135条の18)。
Wr:前面道路の幅員(m) L:特定道路から、敷地が接する前面道路の部分の直近の端までの延長(m)
根拠:建築基準法 第52条第9項、建築基準法施行令 第135条の18(e-Gov 法令検索で確認)。
商業地域・指定 600%・前面道路 6m・特定道路まで 35m のとき、Wa =(12 − 6)×(70 − 35)÷ 70 = 3。幅員を 6 + 3 = 9m として、9 × 6/10 = 540%。特定道路を考えないと 6 × 6/10 = 360% なので、差は大きくなります。
用途地域が2つにまたがる敷地
敷地が容積率の制限の違う地域の2つ以上にわたるときは、それぞれの地域の容積率の上限に、その地域にある敷地の部分の面積の割合を掛けて合計したものが上限になります(建築基準法52条7項)。
容積率に入れない床がある
容積率を計算するときの延べ面積には、次のような部分を入れない(または一定の割合まで入れない)決まりがあります。
- 地階で、天井が地盤面から1m以下にある住宅・老人ホームなどの部分(一定の割合まで。建築基準法52条3項)
- エレベーターの昇降路、共同住宅・老人ホームなどの共用の廊下・階段(同条6項)
- 自動車車庫などの部分(床面積の合計の5分の1まで。建築基準法施行令2条1項4号・3項)
この記事の計算は、そうした部分を考えない「延床の上限」の目安です。
4. どこで確かめるか
- 用途地域・指定容積率:市区町村の都市計画図、都市計画課などの窓口。
- 前面道路の種別と幅員(2項道路かどうか、セットバック):建築指導課など、建築基準法の道路を扱う窓口。道路台帳の幅員は、建築基準法上の扱いと違うことがあります。
- 特定行政庁が別の数値を指定している区域:同じく建築指導課などの窓口。
物件の資料が届いたら、まず目安を出す住所を入れるだけで、用途地域・指定容積率・道路の幅の目安から延床と階数の目安を出し、確かめる窓口の一覧も作れます。14日間はすべての機能を無料で使えます。
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- 建築基準法 第42条第2項、第52条第1項・第2項・第3項・第6項・第7項・第9項(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201、2026年5月27日施行の版、2026年10月27日確認)
- 建築基準法施行令 第2条第1項第4号・第3項、第135条の18(e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338、2025年12月1日施行の版、2026年10月27日確認)
この記事は、法令の一般的な説明と、架空の敷地での計算の例です。個別の物件で建てられる大きさは、敷地の形・道路の扱い・条例などで変わります。判断の前に、所管の窓口や建築士に確かめてください。法令は改正されることがあります。上の確認日の時点の内容です。